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ダイエットだから恥ずかしくない

 私は自分の部屋の中で、家庭教師の史織ちゃんと戦っていた。勉強机から立ち会がり、腕でお腹を守りながらベッド際まで後退している私に、史織おねえちゃんは指を開いたり閉じたりしながら迫る。
「ふっふっふ。もう逃げ場はないぞよ。まいまい」
 史織ちゃんは、不敵な笑みを浮かべて迫ってくる。
 史織ちゃんは、ゆるいウェーブの長い髪に白いニットのセーターを着てる。パーカーにハーフパンツで、子供の部屋着、って感じの私と違って、すごくおとなな雰囲気で、今日も綺麗だった。……今こうやってRPGのザコ敵みたいな笑顔で迫ってくるまでは、ね。
「待って! 史織ちゃんホント待って! ぜったい、うわって思うから!」
 私は本気で後ずさって、ベッドの上まで退避した。お腹はちゃんと守ったままだ。
「思わない思わない。絶対思わないから触らせて」
 史織ちゃんは、いたずらっぽい笑みを浮かべてベッドの上まで来る。
「ダメっ! お、お願いだからっ!」
 私は両手を上げて制止する。本当に、真面目に触られるのが嫌だった。
「……もう」
 史織ちゃんは困ったように笑ってベッドから下りると、腰に手を当てた。
「全然太ってないってば。あたしなんか、……こうだよ?」
 史織ちゃんがインナーごとセーターをたくし上げる。真っ白のお腹が見えた。柔らかそうで、綺麗な曲線を帯びていた。インナーの下にシルクみたいな光沢のブラが少しだけ覗いて、どきっとする。
「史織ちゃんは、だって……、胸もおっきいし、プロポーション良いから……」
「ほほーう、つまりあたしはトータルおデブだと言いたいわけだ?」
「違うっ!」
 私は首を振って全力で否定する。
 史織ちゃんは、理想のおねえちゃんだ。太ってなんかいないし、優しくて綺麗で、素敵だ。大学生になったらこんな風になりたいって心底思う、あこがれのおねえちゃんだ。
 ……絶対なれないって知ってるけどね。中学の史織ちゃんですでに知ったけどね。
 中学の時の史織ちゃんも小学生だった私にとってすごく素敵なおねえちゃんで、中学に入ったらこんな素敵な女の子に自分もなるんだって思ってた。
 残念ながら、私はそうはならなかった。まったく自然に当たり前のようにちんちくりん中学生だった。そして今もまだちんちくりんだ。史織ちゃんの足元にも及ばないよ。
 足元にも及ばないのに、お腹まわりだけ及びそうになっている。
 これは本当に本当に、深刻な問題だ。
「……昔は史織ちゃん史織ちゃんってすぐ抱き着いて来たのに。おねえちゃん寂しいなぁ」
「…………」
 史織ちゃんの言ってるのは、さっきのことだ。
 さっき、勉強を教えてもらっている途中で私の椅子の脇に史織ちゃんが座った。一人用の椅子なんだから、もう密着だ。ぎゅっと。
 ……だから、私が離れた。そしたら、史織ちゃんが拗ねた。
 小さい時からお隣に住んでる5歳上の史織ちゃんは、大学行くようになって一人ぐらしになってからも、私のところに家庭教師に来てくれている。昔はたくさん遊んでもらってたし、そのころから私が史織ちゃんをちょっとあり得ないくらい好きなのはうちの両親も史織ちゃんの小父さん小母さんも知ってた。今でも大好きさ加減はそんなに変わってない。
 ……いや、むしろ悪化した? 今、史織ちゃんが彼氏の話をしたら私は猛烈に嫉妬する自信ある。だから、彼氏の話は怖くて聞けない。
「ほら、恥ずかしがらずに。カモンカモーン」
 史織ちゃんはにこにこ笑いながら猫を招きよせるみたいな姿勢で私に手招きする。
 史織ちゃんが密着にこだわる理由は良く分からない。……私を猫くらいにしか思ってないのかな、ってちょっと思ったりもする。
「ダ、ダイエットに成功したら、ね?」
 私はそう言った。
「……本気で言ってるの?」
 史織ちゃんの表情から笑みが消え、心配そうに私を覗き込む。
 ……本気に決まってる。
 史織ちゃんにいつも抱き着いていたのは、本当のことだ。史織ちゃんが大好きで、抱き着くとすごくやわらかくて、すべすべしてて、良い匂いがした。
 馬鹿な子供の時の話だ。
 抱き着けば私の匂いも、身体のラインも、同じように史織ちゃんに分かられちゃってるってことに気付かない、馬鹿な子供の時の話だ。あんな風に無遠慮に飛び付いて、だらしない私の身体に幻滅されちゃうなんて、絶対に嫌なんだ。
 だから、私は抱き着きたくない。すごく抱き着きたいけど、絶対に抱き着きたくない。
「つまり、私がケーキバイキングに誘うと毎回都合が悪いのは、そういうこと?」
 史織ちゃんの質問に、私のお腹の虫が、くーと鳴いて答えてくれた。すごく恥ずかしかった。
「……ご、ごめん。バイキングは、だって、完全アウトだから」
 史織ちゃんは、大きくため息をつく。
「ご飯食べてないの?」
 ダイエット計画は現在進行中だ。私は、意気込んで頷いた。
「うん!」
 私は、ちゃんと史織ちゃんの隣に行けるように、努力中だ。せめてそれだけでも分かってもらえたらって思う。
「このドたわけ」
 殴られた。
「……いたぁ」
 史織ちゃんを怒らせちゃったのが怖くて、私は頭を押さえながら史織ちゃんをそっと見上げる。
「お若いの。ダイエットはカロリーにあらず。じゃぞ!?」
 史織ちゃんは怒ってる風じゃなかった。でも、心配そうに私を見た。それから一つ頷いて、笑った。
「うーん、そうだな。まいまい。綺麗になれるダイエット、教えたげようか。ご飯普通に食べられて、しんどいトレーニングもないやつ」
 史織ちゃんは私の頭をなでながら言う。
「え、そんなのあるの!?」
 何その……、通販番組っぽいの。すっごくお高いとか、個人差がありますとかいうんじゃないの? 本当なら、なんてすごいことだろうとは思うけど。
 史織ちゃんの傍にいるためにダイエットしてるのに史織ちゃんに聞くのは何か、ちょっとズルな気もするけど……、でも、躊躇っちゃダメだ。
「お、教えて。史織ちゃん」
 史織ちゃんはにっこり笑って頷くと。
「ふふふ、教えても良いが条件がある。……ご飯を、食べること」
「…………う、仕方ない、な」
 私が渋々頷くと、史織ちゃんはぴょんと一つ跳ねて部屋の外へ出て行った。
「おばちゃん! ご飯って残ってます!? まいまいの餌づけに成功しました!」
 史織ちゃんが階段を下りながらお母さんに言うのが、恥ずかしかった。
「ホント!? もー、言ってやって! あの子この頃全然食べないんだから!」
 お母さんの答えが聞こえてきて、余計に恥ずかしかった。
「……うぅ」
 でもお腹は減っていて、ご飯が楽しみで……。それが一番恥ずかしくて、死にそうだった。

 史織ちゃんの一人暮らしをしてる部屋は、うちから電車で三駅だった。綺麗なマンションで、鍵なんか私の知ってる鍵と根本的に違った。
 カードキーのやつ。それも、機械に通すんじゃなくて、駅の改札機みたいにぱって当てるだけの。
 史織ちゃんは慣れた手つきで靴を脱いで、鍵を放り投げ、ポストに入っていた手紙をてきぱきと机の横の棚に整理した。
「うあちゃー、こんなことになるんだったら片付けとくんだったー」
 史織ちゃんはそんなことを言うけど、私の部屋より全然片付いてるなぁ。
「ごめんねまいまい、上がってその辺に座って」
 史織ちゃんはクッションを窓際に置いて、そこを指す。
「お邪魔します」
 私は靴を脱いで上がって、窓際に座った。史織ちゃんの家は史織ちゃんの匂いがして、なんだかいるだけで幸せだった。
「ふー、教え子拉致って来たぜー」
 史織ちゃんは汗を拭く仕草をする。
「拉致られたんだ私……」
 二人でくすくす笑い合う。
「お茶で良い? てか、お茶しかないな。あるいは……ザ・チューハイ?」
 史織ちゃんが悪い笑みをこぼした。
「お茶で」
「デスヨネ」
 チューハイが何だかは知らないけど、どうせお酒なんでしょ?
 ペットボトルのお茶が二人分のカップに注がれる。……あれは、彼氏用だったりするのかな? 少しだけ考えて、慌てて首を振る。
 史織ちゃんは、ご飯を食べた私を連れて自分の部屋へ帰ってきた。何か道具を使うダイエットだから、って言ってた。史織ちゃんが持ってるのを貸してくれるって。
 ――勉強の気が散るものを排除するためにうちの部屋に拉致って良いですか?
 史織ちゃんがうちの親に言った言葉そのままだ。
 ――あら、迷惑じゃないかしら? ……まい、あんまり遅くなるまでお邪魔しちゃダメよ?
 それに対してのうちの親のコメントだ。……自分の子供への信用のなさと史織ちゃんへの信用の厚さがすごいよね。
「じゃ、始めようか。まいまいはインナーマッスルって知ってる?」
「何か……腹筋とかの……すごいやつ」
「ぶっはっ!」
 言ったら、吹き出された。史織ちゃんがベッドに後ろ向きにダイブする。
「まぁ、まぁ合ってる! あはははは、すごいやつ!」
 史織ちゃんはじたばたしながら涙を拭いて、笑いを堪えた声で続けた。そこまで笑うことないじゃん。
「うん、そうね、内臓とか支えてる筋肉ね。……すごいやつ」
「もーっ! 良いでしょ忘れてよ!」
 急に恥ずかしくなった。顔が熱い。
「ご、ごめんね」
 言いながら史織ちゃんは、まだ忍び笑いをしていた。
「だってまいまい、かわいいんだもん」
「し……、仕方ないじゃん、それ以外に表現が思い付かなかったんだから」
 拗ねて見せたものの、かわいいと言われたのは嬉しかった。
「それでね」
 史織ちゃんは私の前にお茶のカップを置いて、自分の分を机に置いた。座るのかな、と思ったら、立ったままだ。
「骨盤底筋、って筋肉があるんだ。こう、ね……ここらへん通ってる筋肉」
「…………」
 史織ちゃんが指で示したのは、下腹部から股の間、それからお尻の下あたり。その仕草がちょっとエッチっぽくて、頬が赤くなるのを感じた。
「ここ、トレーニングするとお腹周り締まるし、お尻上がるし、女の子っぽい良いラインが出るの」
 史織ちゃんの細い指が、股のところを何度も行き来する。いけない想像を掻き立てられて、私は顔を背けた。
「ホルモンにも影響してるから、痩せるし、胸もおっきくなるよ。インナーマッスルを鍛えると良いことばっかりなんだ」
 史織ちゃんが笑う。
 なんだかおじさんおばさん向けの健康番組っぽくなってきたけど、鍛えるってどうやるんだろう。
「そんなとこ、鍛えられるの?」
「それっ!!」
 そのままの疑問を口にすると、史織ちゃんは力強く頷いて、腰に手を当てる。
「医学は進んでいるのよー。本来鍛えられなかった部分が鍛えられるようになってるのね」
 史織ちゃんは頷いて、引きだしから小さな箱を取り出した。
「じゃん! ここにそのためのアイテムがございます!」
 紙の箱を私に渡す。慌てて受け取ったものの、何だか良く分からない物だった。名前とか説明は……、一つも読めない。
「……英語だ」
 乳白色の綺麗な紙の箱は一部分が透明になっていて中の物が見えた。中のこれが、トレーニング用のアイテムなんだろうか。何だろう。キノコっぽい形の、何か。
「一個余計に買っといて良かった。開けて開けて! それまいまいにあげるから」
「え……、そんな……、良いの? 高いアイテムじゃないの」
 どうやって使うのか分からないけど、日本語の説明がないからきっと海を渡ってやってきたすごいアイテムなんじゃないのかな?
「あ、開けるよ?」
 ちょっとどきどきしながら箱を開ける。外から見えたキノコは、思ったよりずっと軽い。すべすべの、プラスチックでできたもの。けっこう硬い。マツタケみたいな形で、根っこの部分が平たいお皿みたいになってて、立つ。
 他には……あれ? 箱を覗いてみたけど、これだけ。
「何、これ……」
 ふと、おばあちゃんが似たような木の棒を持っていたのを思い出す。
「あ、ツボ押し、かな?」
 先の部分は太くて丸くて、根っこの方に行くにつれて細くなってる形は、握りやすい。
「んふふ……」
 私がその物体をふにふに握っているのを、史織ちゃんはベッドに腰掛けて笑って見てた。
 途端に恥ずかしくなる。……多分、全然違うんだ。そうだよね、ツボ押しをわざわざアメリカから買わないよね。
「うん、ツボ押しは良い線行ってるよ。さすがまいまいだ。押されるとどんどん血行と代謝が良くなって痩せられるツボっていうのが、あるんだ」
「……たい、しゃ?」
「脂肪を燃やす能力のことさ」
 史織ちゃんが、くいっと眼鏡を上げる動作をする。……もちろん、眼鏡はない。家庭教師の授業でも、勉強の裏ワザとかめっちゃ使える公式とか教えてくれる時にやる、先生っぽい仕草。
 史織ちゃんの得意げな顔が、何かすごく可愛くて、クールな目が素敵で……、本当に好きな仕草。
「これは、膣の中のツボ押しさ。マッサージャー、って書いてあるでしょ、ここ」
 史織ちゃんがなんでもない風に言って、箱の一番大きく書いてある言葉を指す。
「え……」
 私は、何でもなく流れたその言葉の途中をスルーできなかった。……今、何て?
「どこ、の?」
 史織ちゃんは、私の顔を見ながら微笑む。
「ち、つ」
 そして、言葉を区切ってしっかりとそう言った。
「あれー? 学校で習わないっけ? ヴァギナ? 産道? とにかく、赤ちゃん産むための穴さ」
「……いや、その、それは、知ってるけど」
 自分の身体に、毎月血の出る穴が開いてるのはもちろん分かってる。子宮に通じてるってことも。
 だけど、え……、これ、このキノコ、直径が十円玉くらいあるんだけど。
 そんなものが通る穴じゃないでしょ、あれは。
 私がマッサージャーを見ながら困っている間にも、史織ちゃんは楽しげに説明する。
「いや、何よりすごいのはさ、トレーニングはそれを入れておくだけだってところなんだ。入れたまま寝転がって……」
 史織ちゃんは私の方を見て、首をかしげる。
「どしたの? まいまい」
「あ……、でも、私はこれは……、無理、だと思うから、その……」
 せっかく勧めてくれたけど、私には無理だと思う。
 ただそれだけのことを言うのがとても怖かった。
 理由を聞かれたらどうしよう。膣に何か入れるのが怖いとか、子供っぽいと思われるかな。でも、こんなの入れられないし、多分、血が出ると思う。
 私、男の子と付き合ったこともない。セックスがどうとか言ってる友達もいるけど、多分みんなセックスは体験してない。私も、ずっと先のことだと思ってた。
 史織ちゃんは、もう体験してるのかな。中学生くらいだったらそのくらいしてて当たり前なのかな? 遅れてるって思われるかな。
「あ、もしかしてまいまい……、タンポンとか使ったことない?」
 史織ちゃんに聞かれることがいちいち怖い。タンポン、タンポンって、あれだよね? 中に入れるタイプの生理用品だよね?
「わ、私は、ナプキンしか……」
「そっか、んー、そりゃ怖いよな」
 史織ちゃんのリアクションは、馬鹿にする感じじゃない。
 もちろん、史織ちゃんが私を馬鹿にしたことなんて一度もないんだけど、いつ史織ちゃんが私がつまらないやつだって気づいちゃうか、怖くて仕方ない。
「そ、その、タンポンって……、経験のある人しかしちゃいけないのかと思ってたから」
「経験……?」
 史織ちゃんが目で聞き返す。けどすぐに分かったみたいだった。
「ああ、セックスか」
 まるでスポーツか何かみたいに、何の抵抗もなく史織ちゃんはそう言った。
 セックスって、そんな風に軽く口に出して良い言葉なんだ?
「私も未経験だけどタンポンもそれも大丈夫だったよ」
 史織ちゃんが微笑む。
 ……ちょっと、嬉しかった。
 史織ちゃんくらいモテそうな人でも未経験なんだ、っていうのと、彼氏とかいないんだ、っていう、二つの意味で。
「そっかー、タンポンしたことなくても、ちゃんと指でほぐせばこれくらいの太さなら切れたりしないと思うけど……、抵抗ある?」
「……正直、ちょっと」
 なんか、史織ちゃんでも未経験だって思ったら、少し素直に言えるようになった。
「そっかあああー、残念だぜー!」
 史織ちゃんは、豪快なため息をつきながらベッドにばたりと倒れると、じたばたした。
「これを教えた上でなら週末にケーキバイキングに誘えると思ったのにー! ちくしょー、まいまいとケーキバイキング行きたかったーっ!」
 ケーキバイキングは、史織ちゃんに誘われるたびに断っていた。
「行って、ないの?」
「一人で行って何が楽しいのよっ! 私はまいまいと行きたかったのっ! 半分こしたかったのっ!」
 史織ちゃんが首だけ起こして、拗ねたみたいな口ぶりで言う。
 ……すごく、嬉しくて、すごく、辛かった。
 そんなに私と行くのを楽しみにしててくれたんだ。私じゃなきゃダメって思ってくれたんだ。
 私だって、史織ちゃんと一緒に行きたい。隣に座りたい。
 でもそのために、この怖さを乗り越えなきゃいけない。
 ……何やってるんだろ、私。
 史織ちゃんの隣に行けるのに、何に怯えてるの?
 一歩、進むだけじゃない。少し、痛いのを我慢するだけじゃない。
 歯を食いしばる。告げる言葉を頭に用意する。それから息を吸って……。
「史織ちゃん」
「ん?」
「…………」
 言葉がつっかえる。気持ち悪がられたらどうしようって、考えが空回りする。……でも、大丈夫。ケーキバイキングに行きたいって言ってくれた、史織ちゃんを私は信じる!
「その……、使い方、分からないから」
 言いながら、どんどん顔が赤くなるのが分かった。怖くて声が小さくなる。
 でも……、言わなきゃ!
「教えて、欲しいって言ったら……、いや?」
 史織ちゃんは私の顔を見て、にこっと笑った。
 ……いや、にやり、って感じだった。
「へっへっへ。まいまいは本当に可愛いこと言ってくれるよね。嫌なわけないでしょ」
 その言葉に、心底ほっとした。
 気持ち悪いって言われなかった。

 トイレのシャワーでお尻を洗ってきた。おしりと、前を、念入りに。
 それでも、史織ちゃんの前で下を脱ぐのは本当に抵抗があった。
「ほら、ここ座って」
「……う、ん」
 史織ちゃんにうながされるまま、私はベッドに腰掛ける。
 座った瞬間、史織ちゃんに押し倒された。
「わっ!」
 突然ベッドに仰向けに倒され、柔らかい枕に後頭部がもふっと埋まる。枕から史織ちゃんの良い匂いがした。
「はい腰上げて」
「う……」
 言われるままに腰を浮かせて、それから顔がかぁっと熱くなった。
 私のスカートとパンツが、するりと脱がされていた。心の準備なんてどこにもなかった。
 下腹部がさらされてすーすーする。……もっと、さらしちゃいけないとこも。
「あ、う……」
 私、史織ちゃんのベッドの上で、パンツ脱いでる……。
 史織ちゃんは笑顔のまま、股のあいだから私の顔を見つめる。自分のむき出しの腿の向こうに史織ちゃんの顔があるっていう恥ずかしすぎる光景に、頭の理解が追いつかなかった。
「まいまい」
 史織ちゃんが私の股の間に手を差し入れる。自分でもそうっと触ったことしかない、割れ目の中の部分に、史織ちゃんの指が優しく触れた。
「ひゃっ! や、ダメ……、きたな、い……からっ!」
 熱いんだか冷たいんだか自分でも分からない。くすぐったくて腰が逃げそうになるその刺激に、ぎゅっと目をつぶって耐える。
「まいまい」
 史織ちゃんは、私の股の間に手を入れたまま、身体を倒して私に囁きかけるように顔を近づけた。
 ちゅっ……。
「……え」
 目をつぶっていた私は、唇に触れた柔らかい感触に驚いて目を開ける。
 史織ちゃんの顔が目の前にあった。
 キス……、された。
「え……、ええ?」
 唇を離した後も、史織ちゃんはすぐ近くにいて、笑っていた。
「大丈夫。痛くしないし、怖いこともしない。汚くなんてないし、まいまいは最高にキュートだよ」
 すぐ近くで史織ちゃんが囁く。
 その言葉がまるで魔法みたいに、私の身体をおかしくした。
「あっ……」
 股の間から脳に向けて、電気が走った。
 くすぐったくて怖かっただけの、割れ目に触れる史織ちゃんの指の刺激が、まるで別のことをされてるみたいに感じられた。
「や、あぁっ……、あ、ああっ」
 なに、これ……。
 なんなの?
 ちりちりする。触られてるとこが、しびれるみたいに……気持ち良い。
 史織ちゃんが、私を、キュートだって言ってくれた。
 キュートだ、って。キス、され……。
「あ、ぅ、あ……」
 私の割れ目で史織ちゃんの指が動くたび、変な声が出る。出したくて出してるわけじゃない。触られるたびに、頭の後ろの方で火花が散って、勝手に喉が声を出してる。
 目の前で、史織ちゃんが微笑んで私を見下ろしている。史織ちゃんに触られるたびにどんどん腰が気持ち良くなる。
 セックスって、こんな感じなのかな。
「……はあっ!! あ、だ、ダメ……」
 どろっ、と股の間を何かが伝って落ちるのを感じた。汗じゃない、私の割れ目から出てきた何か。
 たまに、一人で史織ちゃんのことを考えてたりすると腰が熱くなって濡れてきちゃうあれ。エッチな気持ちになった時に出てきちゃうやつ。
 やだ、そんなんじゃないのに! 史織ちゃんは私にダイエットのやり方教えてくれようとしてるだけなのに! ばれちゃう!
 私が、セックスとか変なこと考えてるの、キュートだって言われてエッチな気持ちになっちゃってるの、ばれちゃう!!
「ダメ、史織、ちゃ……」
 身体から抜けかけた力を振り絞って、史織ちゃんを押し退けようとする。
「濡れてきた」
 けど、その瞬間、史織ちゃんは笑顔でそう言った。
 ……エッチな子だと思われたかな。
 嫌われるかな。女同士で、って気持ち悪がられるかな。
「まいまい」
「ひっ!」
 名前を呼ばれて喉が引き攣れる。
「あ……、ごめん、びっくりしたよね」
 史織ちゃんは優しく言う。その声すら怖い。私は小さく首を振る。
「自分の身体の反応で驚いちゃったかもしれないけど、ここはこうやってマッサージすると、汗みたいなのを出すの」
「……ぇ」
 史織ちゃんは、気づいた風でもなくごく自然に私の割れ目を撫で続ける。
「少しほぐれてきたかな? こうやって濡れてると、入れる時に擦れて痛くなったりしないから、自分でする時も良く濡らすと良いよ」
「…………普通の、こと?」
 エッチな気持ちになった時になるものかと思ってた。マッサージすると出るなんて……。
「うん、普通」
「史織ちゃんもなる?」
「えへへ、私はまいまいよりすぐ濡れちゃうね。慣れちゃったからかな」
「……その時に」
 その時に、エッチな気持ちになったりしない?
 そう聞きかけて、慌てて首を振った。
「ん、なんでもない」
 そんなこと聞いたら、今自分がエッチな気持ちになってるって白状するみたいなもの。言えるわけない。
「さて、この究極のダイエットアイテム。ゆっくり入れてみようか」
 史織ちゃんが私の股から手を放す。濡れたせいで部屋の風が当たると股の間が冷たかった。それでも身体全体暑くて仕方なかったから、ぜんぜん平気だったけど。
 史織ちゃんはさっきのマッサージャーを手に取って、私の膣の入り口に当てる。
「んっ!」
 少し怖くて、力が入る。
「はい力抜いて。おならする時みたいに」
「……ぇ、えぇ?」
 そんなの、しないよ! ……するけど、史織ちゃんの前では絶対しないよ。
 こう、かな。おなら出ちゃわないよね。
「そうそう。良い感じ。……痛い?」
 膣のあたりに一瞬、圧迫感を感じる。
「だい、じょうぶ……」
 でも、痛みはなかった。これから来るのかもしれないけど。
 私が答えると、史織ちゃんは笑って手を放す。
「良かった。急に力入れちゃダメよ。痛くなっちゃうから」
 史織ちゃんの言葉に声が出せず、私は頷いて見せる。
 なんだか、喩えは悪いけど便秘の最後の腹痛みたいな、お腹の重い感じ。
 さっきキスしてもらったせいか、夢の中にいるみたいな幸せな気持ちはずっと続いてる。お腹の重いのも、何でかすごく気持ち良くて、ずっとこうしてたい。
 史織ちゃん、どうして手を放しちゃったのかな。触られてるとすごく気持ち良かったのに。
 ……ち、違う。史織ちゃんはマッサージャーを入れてくれてるだけなんだから、意味なく触ったりはしてくれないよね。
 さっきのキスも……、リラックスさせるためにする、お母さんが子供にするみたいなのだよね。
 ごめん、史織ちゃん。私はファーストキスをくれた人ってずっと記憶にしまっちゃうよ。ずるくて、ごめんね。
「慣れてきたらゆっくり深呼吸してごらん」
「う、うん」
 史織ちゃんはまったく私に触らないでそう言う。
「すぅ……」
 マッサージャーは少しずつ入れないといけないのかな。
 深呼吸をしながら、膣の入り口で重たい存在感を持ってるマッサージャーを見る。胸とお腹が邪魔になって自分からじゃ全然見えない。
「さっき、見たと思うけど、このダイエットアイテム、根っこの方が細くなってるのね」
「……うん」
 史織ちゃんがもう一つ、マッサージャーを出して見せてくれる。
 ……それって、史織ちゃんの膣に入ったことある方だよね。そう思うと、何だかドキドキする。
 史織ちゃんが言うみたいに、根っこの方が細くなってる。今、私の膣に入ってる方は丸っこい頭みたいになってるから、入れる時が一番圧迫感がある。変な形だ。
「今、力抜いてるでしょ? これで力を入れるとどうなると思う?」
「……えっと」
 このマッサージャーを、ぎゅって握るみたいにするってこと、だよね。外に向かって細くなってるんだから……。
「あ……」
 何か、マッサージャーの意味が分かった気がする。
「力を入れると、中に入って行く……」
「その通りでございます!」
 史織ちゃんがウィンクして親指を立てる。
「これはね、自分の骨盤底筋の力で、子宮頸部を刺激できる優れモノなのですよ」
「子宮けいぶ?」
 すごくどや顔で説明する史織ちゃんには悪いんだけど、子宮頸部がどこなんだか、刺激するとどうなるんだかが私には分からない。骨盤底筋っていうのはさっき言ってたインナーマッスルだ。それは覚えてた。
「子宮は分かるでしょ? その入り口だね。神経が集まってて、刺激されると身体中の血の巡りが良くなるの」
「あ……」
 それで、ダイエットになる、ってことだ。
「しかもね、子宮頸部の刺激が骨盤底筋の反射を招くのね」
「……史織ちゃん、分かりやすく言ってよ」
 史織ちゃんが興奮しすぎて、センモンカになってる。授業中にも結構こうなる。特に、史織ちゃんの好きな科目だとなる。
「つまりね、インナーマッスルを締めるとツボを刺激して、ツボを刺激するとインナーマッスルが締まるの」
「え……」
 あれ、それってなんか、終わりがない、ような……。
「その間ずっと筋トレしてるみたいなものだから、それを入れて寝てるだけで汗だくになるの。ダイエット効果すごいよ」
「わ、わ、すごい。私でも、できるのかな」
「もっちろん!」
 史織ちゃんが頷く。
「ケーキバイキング、行けるかな?」
「ふふふ……、毎日やれば、すぐさ」
 史織ちゃんが悪い顔で笑う。
 ……そっか。すぐ、か。
 覚悟しよう。
 どのくらい痛いのか分からないけど、それを我慢すれば……、ケーキバイキングが待ってる!
「あとは、どうすれば良いの?」
 寝転がったまま、マッサージャーを少しだけ膣に入れた私は、史織ちゃんを見上げて聞く。
「じゃ、ゆっくり力を入れていってごらん」
 史織ちゃんは私にもマッサージャーにも手を触れずに言う。
「え? もう? 奥まで入れなくて良いの?」
 その言い方に驚いて聞き返すと、史織ちゃんが逆に首をかしげた。
「全部入ってるよ」
 うそ……。
 全然痛くない。
 来ると思って覚悟していた痛みは、なかった。
 つまり、それって……、もう何も怖いことはないってことで。
 ……すごい! 理想の身体の曲線がすぐそこにある感じ!
「あとはゆっくり力を入れて、ツボに当たってるっぽいとこ探すだけ。そこに当たれば勝手に息が荒くなるし心臓早くなるし、骨盤底筋も勝手に動き出すから」
「うんっ!」
 私は、ゆっくりゆっくりお尻に力を入れて行った。
「ゆっくりだよ。いきなりぎゅってやるときついの来るから」
「う、うん……」
 そうっと、そうっと……。
「…………」
 膣の中をマッサージャーがぬるっと奥へ入って行く感触が……あった。
 次の瞬間。
「あっ!」
 熱い刺激がお腹の奥から込み上げた。
「あ……」
 とくん、心臓が強く打つ。
 それは、確かに一度も経験したことのないような刺激で……、だけど、ツボ押しとかそういう感覚とはまるで違った刺激だった。
 腰が跳ねた。
 反射で、とか、痛みで、じゃない。
 あまりの快感に、腰が跳ねた。
「あっ! あ、あっ」
 膣の筋肉を、腰が跳ねるほどいきなりぎゅっとやってしまった。それは当然マッサージャーをさらに膣の奥まで押し付け、その先端は子宮頸部をさっきよりずっと強く押す。
「あああああっ!」
 目をぎゅっと閉じて私は快感をこらえた。さっき、史織ちゃんに割れ目を触られていたのの何倍? ってくらいに感じられる気持ち良さが、お腹の底から全身に行きわたる。
「だ、あ……、ダメ、これ……、あ、あああっ! あああっ!」
 背中が反り返る。
 まるで史織ちゃんに私の膣の奥の奥を見せつけるみたいに、足を開いて酷く恥ずかしい格好をしていた。
「や、やだ、やだ、ああああああっ! とまら、とまら、ないのっ!」
 史織ちゃんの前でどこまでもエッチで恥ずかしい姿を見せてしまいそうになる。
 快感をこらえなきゃ、気持ち良くなっちゃダメ。エッチなことを考えちゃダメ。
 そう思ってるのに、こらえればこらえるほど腰は跳ねて、そのたびにマッサージャーに子宮頸部をこつこつ叩かれる。
「ああんっ! ああ、あ、ああ、だめ、だめぇ……、とまらなく、なっちゃって」
 しかも、怖いことに子宮頸部を叩かれるたびに出てきて身体中を巡る快感は、後から後からどんどん重なって行く。波が引いて行く前に次の波が来るみたいになってる。
 これ、気持ち良くなって気持ち良くなって……最後はどうなっちゃうの?
「それそれ、なんにもしてないのに筋トレしてるみたいでしょ?」
 史織ちゃんが嬉しそうに私の身体を眺める。
「ひぐぅっ……」
 その視線がたまらなく気持ち良くて、私は余計に背筋を反らせてしまった。
 気持ち良すぎて、視界全体が真っ白になる。脳が一瞬、気持ち良いだけになる。伸びをするみたいに足をぴんと伸ばして、私は一時、快感を貪ること以外の機能全てを、捨てた。
「いっ…………」
 何なのか、何が起こったのか、上手く説明できない。でも、一瞬私は天国みたいなとこにいた。
「っはぁっ! はぁっ……、はぁっ……」
 その状態から帰って来て、自分が死んじゃったわけじゃないって分かっても、でも状況はあまり変わってなかった。こらえればこらえるほど子宮がきゅうきゅう押されてどんどん気持ち良くなるし、こらえるのを諦めればまたさっきの真っ白なところへいきそうだった。
「あ、ああああっ! また、あ、またなんか……、変にな、なっちゃ、あああんっ!」
 気持ち良い。気持ち良い。でも、気持ち良くなっちゃダメ……。
 あれ? 何で、ダメなんだっけ?
「おー、余裕なさそうな感じだね。最初はけっこうそうなっちゃうけど、慣れてくれば漫画読みながらできたりするよ」
 史織ちゃんの言い方があまりにいつも通りで、こんな風になってる自分の方が異常なんだって強く思わされる。
 ダイエットでこんな気持ち良くなっちゃうようないやらしい子、他にいないんじゃないかな。いやだな……。
 でも……。
 史織ちゃんに、バレてはいないみたい。
 史織ちゃんに嫌われないんだったら……。
「あはぁっ、あっ、あっ、あっ……」
 また、あの白い天国みたいなのが来る。
 子宮を何度も擦られて、快感の波が打ち寄せて……。
 もう一度、もう一度だけなら……。
「んぅっ…………、っ…………!!」
 また、いった。
 気持ち良い、いやらしい、快感だけの世界に……。
 お腹の奥の、誰も触らないようなところを擦られて、身体をぎゅっと反らして、口をだらしなく開けて。
「わぁ、すごい。ここからもどんどんおつゆが出てるよ」
「んぃいいいっ!! 今触っちゃ……、あああああああっ!!」
 史織ちゃんが私の割れ目を優しく撫でて、私はさらに腰を跳ねさせた。
 真っ白の天国は、快感の一番てっぺんじゃなかった。史織ちゃんに何かされると、さらにそれより気持ち良くなっちゃう。
「…………っ!!」
 もう、どうなっても良いような気持ち良さで……、そのままその世界にいられるなら何をしても良いと思えて。
 だけど、戻って来てしまうと、史織ちゃんの前でどれほどいやらしくて恥ずかしい姿を見せていたか、気づいてしまう。
「あ……、だ、め……、ちが、うの……これ……」
 呂律が回らない舌と、考えがまとまらない頭で、何か言い訳をしようと思うけど……、何を言ったら史織ちゃんに気持ち悪がられないかが、分からない。
「あはは、大丈夫大丈夫」
 恐る恐る見上げた史織ちゃんの顔は、笑っていた。
「私もこうなるし、大体いつもパンツはいたままだから、べとべとになるよ。おしっことかじゃないし、大丈夫大丈夫。普通のことよ」
「あ…………」
 良かった。
 バレて、ない。
「はぁ…………」
 私はため息をついて……、もう一度、膣に力を入れた。
 今のが普通なら……、もう一回くらい気持ち良くなっても、気づかれない、よね?
 だって、どうやれば、どう力を入れれば気持ち良くなれるか、分かっちゃったんだもん。
 気づかれないんだったら、いくらでも欲しくなっちゃうもん。
「……ん、く」
 だんだんと、膣の中にあるマッサージャーの感触が分かってくる。くたってなると緩んで下りてくるのも、力を入れるとお腹の奥の方へせり上がってくるのも。
 そして、どこかでつるっと膣の中を滑る。マッサージャーの出っ張ったところが、お腹の内側の段差を越える。
「っ! んぅっ!」
 どこに当たってるんだかは全然分からないけど、そのこりっとしたところを越えた時にすごく甘い電気みたいなのが走る。それがスイッチ。
「あ……、っんぅうううううっ!」
 そこからはもう、気持ち良いばっかり。気持ち良すぎて膣がぎゅーっと締まって、そのせいで子宮がさらに押される。
 ちりちりした痛みはもうない。ただ、気持ち良いだけ。
 その気持ち良さに浸ってると、今度は膣が勝手に動き出す。ひく、ひくっ、って、エッチな気持ち良さ、欲しがるみたいに動き出す。
「ん、あっ、ああっ、んあぁっ!」
 その動きが全部、子宮の奥に伝わる。こつこつ、ううん違う、もうくちゅくちゅって感じ。お腹の奥を潰すみたいにマッサージャーがくちゅくちゅ動く。
 マッサージャーは膣に真っすぐ入ってて、だけど気持ち良い場所は少しだけお腹の前側にある。まっすぐ寝た状態はまだ少し楽で、あの真っ白なとこまで行かない。
「はぁっ! ぁ、んぅっ、ん、んぅうっ」
 あまり大きな声を出しちゃいけないと思ってこらえる。
 膣に力が入るたびに、奥の気持ち良いところに当たって、腰が跳ねる。跳ねると、マッサージャーがお腹の前側に少し当たる。
 そっちは、本当にダメ。腰を反らせちゃうとさっきみたいになる。
 頭の奥から直接気持ち良いのが来ちゃう。
 あれは、声も我慢できない。ダメだ。
「はぁっ、ぁ、ん、ん、んぅっ」
 呼吸が浅い。少しでも深くすると、気持ち良すぎる方へ入っちゃいそう。
 このままもう一度……、あの気持ち良い、真っ白な天国に行こう。
 浅めに、浅めに。声が我慢できるくらいで。
「まいまい。調節してるでしょ」
「え…………」
 いつの間にか、すごく近いところから史織ちゃんに覗き込まれていた。
 心臓が跳ね上がる。
「思いっきりやった方が引き締まるよ。はい、もっと呼吸して」
「はぁっ……、だ、だってっ……」
 目に顔が映るくらい近くから見られて、何か全部見透かされてるような気がした。
 つい顔を背けてしまう。
 こんな状態で、さっきみたいに天国に行っちゃったら……。
 今度こそ、バレちゃうかも。
 ああ、何でさっきもう一度しようって思ったんだろう。
 さっきより気持ち良いのが強くて、やっと我慢してるくらいなのに。
「あとこれコツなんだけど……」
「ひゃっ!」
 史織ちゃんの腕が突然、脇腹の下に滑り込んで来て、背筋がびくってなる。
 え、うそ、今触られたら。
「腰をぎゅーって反ると良いとこ当たるよ」
 そう言った史織ちゃんは、私の背中の下に手を入れて、背中を反らそうとする。
 ダメなやつ。背中を反らせると、マッサージャーがお腹の前側、子宮の入り口のところにぐりぐり当たって、こらえられない快感が来ちゃうやつ。
「ふゎぁっ! だ、ま、待って! ん、んうっ! ダメ、ぁ、ダメっ! しおり……ちゃ」
「効くでしょ?」
 史織ちゃんはにこにこしながら背中を反らせていく。
 かろうじてこらえていた快感が、ぎゅっと強くなって背中を登ってくる。
 効く、なんてもんじゃない。
「ダメ……声、変な声っ、出ちゃう……からっ!」
 頭の後ろの方が、かぁっと熱くなる。
 あ、ヤバい、これ。
 すごいの、来る。
 崖の先に、つま先で立ってるみたい。あと大きく一息ができない。頭の中が真っ白で、気持ち良くて、もう、史織ちゃんが欲しくて欲しくてたまらない。
「そか……。じゃあ、ちゅーして塞いであげよっか」
「ぁ、ぇ……?」
 背中はもう自分の背筋のぎゅーって音が聞こえるくらい反り返ってて、その力のぶん全部で子宮頸部の一番良いところ押してるんじゃないかってくらい、お腹の中気持ち良かった。
 真っ白の頭では何も考えられなくて、ただ史織ちゃんが欲しかった。
「ん……して……しおり、ちゃん」
 私は、両手を史織ちゃんの肩に回した。
「はい、良く言えました」
 史織ちゃんは笑って、目を閉じた。
「ちゅ……」
 唇が触れた瞬間、頭の後ろが真っ白に弾けた。
「ん……、んんんんぅうううっ!」
 史織ちゃんの唇は、もう言い表しようのないくらい幸せで、世界にこんなに柔らかい物があるなんて信じられなかった。
 何もかも分からなくて、ただ気持ち良かった。
「んんんんんんんんっ! んんんんぅううううっ!」
 その時の私は、確かに天国にいて、私には唇と子宮と膣しかなかった。
 それしかない私は、前進で史織ちゃんを感じていた。史織ちゃんの一部になったみたいな気持ちだった。
 もう二度と離れたくない。
「んんんんんんっ! んんぅっ! ……んむっ」
 その、なにもない天国から少しだけ白い霧が晴れると、私はようやく史織ちゃんとキスをしてる自分に気づいて、夢見心地になる。
「んむっ……、んふふ、またまいまいとちゅーしちゃったぜ」
 史織ちゃんが唇を離して、お酒飲んだ後のドワーフみたいな仕草で、拳で自分のよだれを拭う。
「あ……、わた、し……」
 現実が見え始めると、頭の霧が一気に晴れる。
 天国にいた時は何も考えられなかったのに、戻って来るとその間の記憶はある。
 キスを、自分でねだったことも。
「う、あ……、だって、ちが……声出ちゃうから」
 顔が真っ赤になる。
 これは、もうごまかせない。
 すごい状態で言っちゃったもん。して、って。
 史織ちゃんは、くすっと笑った。
「だいじょぶだいじょぶ。ノーカンにしといてあげるから」
「あぅ……」
 良かった。
 安堵と一緒に、勝手な気持ちが浮かんだ。ノーカンなら、し放題だな。って。
 浮かんでからすごく罪悪感が湧いた。史織ちゃんは私のダイエットのためにいろいろしてくれたり口まで塞いでくれたりしたのに、私だけエッチな気持ちで喜んでるなんて。
「んんっ!」
 くちゅ、っていやらしい音がして、お腹の底からまた気持ち良いのが来た。
 何もしてないのに、勝手にマッサージャーが膣の壁を滑って動いた。そしてそれが、今まで何で何も感じなかったんだろうってくらい、敏感に感じ取れた。
 恥ずかしいことに、すごく気持ち良かった。
「あっ、やっ、待って、あっ……ああっ」
 その気持ち良いのがダメだった。膣がぴくって動いちゃった。動いちゃったら、もうマッサージャーはつるんと滑って入って来た。
 それがおかしいくらい気持ち良くて、また膣が動いた。
「ダメ、あっ! んんんぅっ! もう、うぅん、したく、ないのに……っ」
 そのあたりで私はもう怖くなっていた。すごかったさっきより、今のこれはさらに気持ち良い。これ、どこまで行くの?
「たす……けて、んっ! しおりちゃんっ!」
 史織ちゃんに手を伸ばしたけど、史織ちゃんは楽しそうに笑ってた。
「あはは……、もう一回イってみようか。それでおしまいにしよう」
 史織ちゃんは、私のことが全部分かってるみたいに思えた。だって、その言葉が欲しかったから。
 もう、ここで止めようって言ったって無理だったから。もう一度欲しくなってしまっていたから。
「もっかい、ちゅーしたげよっか?」
 声が我慢できない? きっとそういうことが聞きたかったのだろう史織ちゃんの言葉に、私はすごーく自分勝手でエッチでいやらしい理由で、そっと頷いた。
 密着する史織ちゃんの身体、柔らかくてぬるぬるの史織ちゃんの唇、それだけで私はもう本当にすぐ真っ白な天国に達しちゃって、今度はかなり長い時間、そこから帰って来られなかった。



 続くような気もする。
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